pierce,prince




『カーテンもなにも…
窓も開いてるじゃない。』


そう言って立ち上がれば
葵に手を引かれ振り向かされた。



「違う。俺の部屋は開いてる。」



葵の部屋は、開いてる───‥?



「…海の部屋。」



『……っ…!』



「海の部屋の、カーテン…。」




葵は、知ってたの?


部屋のカーテンを閉めないで
葵が帰ってくるのを
待ってたあたしを───。



葵の姿に安堵し
眠りにつくあたしを───。



カーテンを閉めることなどない、
あたしの部屋を───?




「海が倒れたあの日から…
カーテンを閉めるようになった」



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