pierce,prince




『…ごめんね。気持ち悪いよね』



気づいてたのなら
言ってくれればよかった。

葵に悪いし、なにより
恥ずかしすぎる。




「謝る必要ねーよ。」



どうして…?



「俺は…海が俺が帰ってくるの
待ってんだなって思うと
うれしかったし、がんばれた。」



葵…



「なのに…なんでカーテンを?」



葵の瞳は、悲しげに揺らいでいた



「俺が帰ってくるのとか、
どうでもよくなったワケ?」



そうじゃない。

そうじゃないって言いたいのに
言葉が出てきてくれない。



「…って、こんなことっ…!
…ただ家が隣ってだけなのに、
気にしてる俺がおかしいのか。」



自嘲気味に笑う葵が
アオイと重なった───‥



< 54 / 82 >

この作品をシェア

pagetop