pierce,prince



あたしの言葉を聞いた葵の顔は
一瞬にして険しくなった。



「フリなんかしてねーよ。」



『嘘。葵…笑ってなかった。』



「はあ?なに言って…」



『笑ってたのは葵じゃなくて
アオイだったよ…!』



葵は口を閉ざした。


なによ…あたしの言ったこと
間違ってないならそう言ってよ…

言ってもらったほうが楽だよ…




「…俺は、海のプレゼントが
いらなかったワケじゃない。
ちゃんと、うれしいから…。」



『ううん…ちがうよ。
あたし、葵がほしいもの
あげてないもん。
いらないもの、あげた…』



「そうじゃない…!」



『そうだよ…!?
毎年葵のほしいもの探って
プレゼントしてた。
でも今年はそうじゃない…
葵のほしいものあげてない…!』



「…」



『ほんとはいらないんでしょう?
こんなものって思ってるでしょ?
だったら、そう言ってよッ…!』



「…海……。」



『なにっ…もう…』



「俺、今年も…海から
じゃないけど
ほしいものもらったから。」



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