pierce,prince



葵はあたしを正面にとらえた。


見つめるその澄んだ瞳に
心の底から引かれるものがある。



「…俺が2枚あげたのは」



言葉のひとつひとつを
集中して聞く。



「海と一緒に見たかったから。」



あたしと一緒に見たかったって…



『…だれが?』



「…」



葵は表情を1ミリも変えずに
じいっとあたし見る。


< 63 / 82 >

この作品をシェア

pagetop