pierce,prince




「新しくできるプラネタリウムに
行きたい行きたいって
会うたびに言ってきた人と
俺が2人で行きたかったから。」



それってあたし…?



「…俺は、海と2人で
見に行きたかったんだよ。」



『…そう、だったんだ。』



あたしってほんと
ばかだと思う。


男の子からチケット2枚貰えば
一緒に行こうって
誘ってるってことだよね…。



───‥その頃から、
葵はあたしを想ってくれてた
ってことだよね…?



『…ごめんね、葵。
あたしがばかだったね。』


「ほんと。」



むうっと膨れる葵は
ここ一番で子供っぽい
顔をしていた。


あたししか知らない──‥
葵の表情(カオ)。



「…なんで笑うんだよ。」



『だって葵の表情が
かわいいんだもん♪♪』



「っざけんなよ。」



『…!きゃあッ!』



葵はウサギでも捕まえるみたいに
勢いよくあたしを抱き締めた。



「んー…好き。」



いきなりに言うその言葉は
反則だと思う…。



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