pierce,prince




「はははっ!ニヤけてやんの。」



葵にそう言われ、
頬をツンツンされた。



「まあ、海のニヤけ顔なんて
見慣れてっけどな。」



『え?…どして?』



葵は窓を指差して言った。



「そっから見えっから。」



あたしは顔が真っ赤になった。


恥ずかしい…
恥ずかしすぎる。



『あたしがよく星見てるって
言ったのも…
こうしてあたしを見てたから?』




「そ。まあお互い様じゃん?」



海だって帰宅する俺のこと
ガン見してたんだから。

そう続けた葵はまた、
望遠鏡に手を伸ばした。




「今年の誕生日プレゼントは、
海と望遠鏡で一緒に
天体観測することだったんだ。」



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