pierce,prince



まだ公演の前だとゆうのに
アユなんて既に涙目。



『あたしは神様じゃないよ。
神様はどっちかっていうと
アオイ…くんじゃないかな?』



そうあたしが言い終えたとき
会場内の照明が
もう一段階落とされた。


それとともに会場内に
悲鳴に近い歓声があがる。



「やばいやばいやばい…」



「はじまるね…!」



興奮しているアユとミキは
互いに手を握りあっている。

そのテンパり具合に思わず
笑ってしまいそうになった。



ステージ上の巨大スピーカーから
ガチャっとした音がすると
ザァーという雨音が
会場内に静かに響く。


どこかレトロなその音に
会場はしんと静まり返る。



「…たとえ、冷たい雨が僕を濡らそうと」



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