pierce,prince
そしてスピーカーを通した
アオイの声が聞こえると
会場内のあちこちから盛大な
歓声があがった。
「僕の気持ちは、変わらない。」
アオイの感情がこめられた
美しい声色に
会場は飲み込まれていく。
「ずっと、ずっと…」
ぱあっと会場が明るくなり、
メインステージの真ん中に
アオイが現れる。
「…君だけ、想ってる。」
その声に悲鳴が響く。
もちろん、あたしの隣からも。
「きゃあー!!!どうしよう!」
「アオイくん、アオイくん!!」
「目の前にアオイくんがあ!!」
あたしが葵に貰ったチケットは
メインステージのど真ん中
最前列の、アオイがいちばん
近くに感じられる席。
近くといってもステージと客席の
あいだは3メートルくらい
あるのだけれど。