シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
『うらぎ…る…のか…』
榊の言葉がひっかかる。
黄色い外套男たる榊と久涅は、同胞だったのか?
「裏切り者は…
その姿をした方だろう?」
久涅は笑う。
「どうせなら…
最後まで貫け。
黄衣の王の"模倣"を」
――黄衣の王、か。
氷皇の嘲るような呟きが蘇る。
ああ、榊は最初の蝶の被害者だ。
芹霞が会話したあの男は一体誰だ?
「黄色い蝶は…放たれたぞ?
より多く…人が集まる場所に」
『な…ぜぇ…』
「言っただろう、主役はお前ではない。
蝶は集まる。
主役の場所に――」
俺には見えない。
久涅も榊も見えているらしいけれど、真っ暗な空には何の気配も感じない。
そして視線を戻せば――
榊の姿は消えていた。
蝶を追いかけて行ったのか?
黄色い外套男の役目は、
蝶を操るのではなく…監視?
そして此の場に残るは、俺と久涅。
――2人だけになった。