シンデレラに玻璃の星冠をⅡ


嫌だ。

渡したくない。


これはただの布地ではない。


芹霞なんだ。

芹霞の心なんだ。


12年間かかってやっと手に入れた芹霞の心なんだ。


俺は手放したくない。

手放すことは出来ない!!!


「凜!!!」


その意味が判っているのなら、尚更俺は渡せない。


「俺に寄越せ」


俺は手を引いて首を振り続ける。

狂ったように。


「…お前を殺して、

奪い取ることも出来るんだぞ?」


突如殺気じみた空気の色。


それでも俺は拒み続けた。



「凜!!!!」



その時だった。


ボーン、ボーン。


鳴り響く鐘の音、7つ。


7時を告げる時計台の音。



「ちっ!!!!」


久涅は激しく舌打ちをして、忌々しげに俺を見ると、



「これが最後だ、凜。

助けてやるから…それをくれ」


そう言った。
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