シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
かつての"約束の地(カナン)"において…
死んだ月(ユエ)ちゃんを模倣し、
月ちゃんとして生きることを決心した旭くん。
月ちゃんの最期は、
今でも思い出したくない。
あたし達を逃がす為に、
狂信者の手により残虐に殺された。
あたし達は、助けることが出来なかった。
「月の唯一残った頭蓋骨は…魔方陣の傍に置いていたはずだ」
久遠は抑揚のない声で言った。
月ちゃんの骨…
残っていたんだね。
彼らを生かす魔方陣。
その身が滅んだ月ちゃんは、蘇生は叶わなかったけれど、せめて魂だけでも生き続けていて欲しい。
多分…そういうことだろう。
その願いを"祀り"に託したのは、久遠なんだろうか。
「月の骨が手元にあるということは…魔方陣に誰かが入ったのか? オレの…厳重な術が掛けられているあの空間に」
旭くんは泣きじゃくっている。
凜ちゃんは、優しく優しく旭くんの背中を叩き続けている。
あたしは…その仕草に既視感(デジャブ)を感じた。
「…司狼といたら…
突然声が聞こえたの…」
旭が言った。
「望みを叶えて上げるって…」
旭くんは嗚咽を繰り返した。
「だからね、だから…
旭は望んだの…。
月が…生き返って欲しいって」
そしてぎゅうっと骨を抱きしめた。