シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
「そう、愚かだね、葉山チャン…」
冷笑した周涅が消えたと同時、真後ろに現れ…
「逝っちゃう?」
背中を蹴り上げ――
…ることに気づいた私は、寸前に体を横に倒して足をかわし、同時に地面についた片手と足の反動を利用して、周涅の背中に回り裂岩糸を放つ。
「ふうん?」
手ごたえ無いのは、瞬時に周涅が消えたからで…そして顎に衝撃を食らって、後方によろめいた。
「お仕置き、しないとね。可愛い顔だからと手加減はしないからね」
いたぶるように執拗に顔に向けられる拳と足の連携技。
ぎりぎりの処でかわしていた私だが…速度の違いは圧倒的。
私などより確実に格闘慣れしている。
私がどう動くのか、全て見切られている。
まるで…五皇相手にしているような戦慄。
裂岩糸を放てど、狙いが定まらない。
私の糸が獲物を捕え切れない。
掠りもしない。
それが私の矜持を著しく傷つける。
意固地になって裂岩糸を放つ私に、
くつくつくつ。
愚弄するような笑い声が聞こえて。
「現実を見させてあげる」
糸が…周涅の手首を捕えた。
「所詮…糸は糸」
しかし――
周涅は、糸の絡んだ手首だけで逆に私を引き寄せる。
ありえない。
私が敵と見なしているのに、
糸が…攻撃力を失っているなんて。
「糸に頼りすぎれば、糸に滅ぶよ?」
周涅は、片手でポケットからライターを取り出した。
コンビにで売っている、安っぽいライター。
「これ…105円。
105円で…葉山チャンご自慢の武器は退散」
手首の糸を燃やし、容易く糸を切る。
驚愕以外の何物でもなかった。