シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
「せり、鏡を見ろ!!!」
「え…あ、うん!!!」
強い語調の久遠に押されながら、芹霞は取出した鏡を覗き込み…また光景を見て、そして鏡を覗き込んで首を傾げて、光景を見て顔をしかめる。
「違うんだな?」
確信めいた久遠の声。
久遠は予想している。
この"戦い"が出来る状況を望んだのは、司狼なのだと。
だからこれは幻。
心奪われて、まともにとりあってはいけない"まやかし"。
どこからか、真実の刺客が現われる前触れだろうと。
しかし鏡の光を当てれば、突破口は開かれる。
それは実証済みで、鏡は限りなく頼りになるもの。
久遠は、そう思っている。
しかし――
芹霞は首を横に振った。
「どう見ても――
同じだった!!!
目で映っているのと同じ」
すると紅紫色の瞳が、驚愕に見開く。
「は!!? 何度見もして、不審げな顔したのは何なんだよ!!?」
「間違いないようよくよく見てたのよ」
「紛らわしいことやめろよ!!!
冗談は顔だけにしろ!!!」
予想を裏切られ、久遠の矜持が傷ついたらしい。
しかし…聞き捨てならない。
芹霞の顔が何だって?
俺は芹霞の手を握ったまま、
久遠を睨み付けるように間に立つ。
すると――
「違うからね、誤解しないでね、凜ちゃん。あたしは久遠に嫌われてるから安心して? あたし判っているからね、凜ちゃんの気・持・ち」
ふふふふふ。
ふふふふふ。
腐腐腐腐腐。
………泣きたい。