シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
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「神崎~。どうしたんだよ、元気ないなあ!!!」


「…元気だもん」


「何で玄関前で体育座りしてるんだよ。明らかに元気ないじゃないか。皆も中に入ったんだし、入ろうってば。外は危ないんだってば!!」


由香ちゃんは、座ったままのあたしの服を掴んで、両手でずるずると中に引き込もうとしたけれど。


「鏡あるからいいんだもん。別に…守って貰わなくたっていいんだもん」


ずるずる、ずるずる…。


「何いじけてるのさ!!! 久々に会ったんだから、中でゆっくり語り合おうよ!!!」


ずるずる、ずるずる…。


「語ることなんてないもん。あたし、玲くんとずっと一緒にいたから、玲くんからあたしの近況聞いてよ」



ずるずる、ずるずる…。


「君だって師匠と一緒に居たいだろう? ほら、中に…」




「玲くんに会いたくない」




「は?」


「玲くん…目、そらした」


「ほ?」


「顔、引き攣ってた」


「へ?」



「あたし、凜ちゃんとのべたべた&ちゅっちゅ&とろりを見たくない」



しーん。

あたりが静まり返って。



「え、えーと、誰と誰のべたべた&ちゅっちゅ&とろりだって?」


由香ちゃんが、眉間に深い深い皺を刻んで、コメカミに人差し指をたてている。


「玲くんと凜ちゃん」


はっきりと言い切って…かなり凹んだ。


「………」

「………」


「………」

「………」


「………」

「………」


「………」

「………」



「………。

師匠とシド…じゃなく凜の?」


こっくり。


「玲くん…凛ちゃんが好きみたい。あたし…ふられた。多分」
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