シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

・異変

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機械室に行く時、由香ちゃんと一緒に話していた蓮に言った。


「凛ちゃんのスカート、太ももの所破けてるから、後で縫ってあげようと思うんだ。裁縫道具貸してくれない?」


しかし、そういうものは置いてないらしい。


「久遠の服、解(ほつ)れたらどうしてるの?」


「勿論、捨てる。久遠様は、一度傷んだ服はもう袖を通されない」


………。

説教だな、久遠。


「その贅沢癖、恋人が出来れば治るのかなあ」


思わず溜息交じりに呟いた。


「凜ちゃんは派手な子じゃなさそうにみえるし、しっかりしているから…まあ大丈夫だと思うけれど…。凜ちゃんが久遠を選べばの話」


「は? 何でそこに凜?」


蓮は解せないと首を傾げた。


「蓮だって判ってるんでしょ? 久遠が本気で恋しているってこと」


「……う、ま、まあ…。お前から言われると何とも反応に困るが」


「別にいいじゃん、ばればれだから。久遠が凜ちゃん好きなこと」

「は?」


「多分両想いだとは思うんだけれど…玲くんが参戦してるから、ちょっと暗雲立ちこめているんだよね」

「は?」


「凜ちゃん次第だからね…。修羅場になりそうなら、その前に久遠を止めてね。玲くんと険悪になっては貰いたくないんだ。辛いよね、大好きな2人が大好きな友達を取り合うの見てるのは。どっちかが諦めないといけないし…」



「ゆ、由香」

「そういうことらしい。久遠も知ってる」


「は!!?」


蓮は先刻から"は?"ばかり。


「く、久遠様は…。いや…その前に紫堂玲だ。…あれ、紫堂玲は何処だ?」


凄く慌てふためいている蓮の声に、後方を振り返ってみたけれど…玲くんが居なかった。


「あれ、凛も居ないね~。師匠と一緒かな?」


フタリイッショナノ?


「こんな状況だから、居ないのは心配だけど…。でもま、2人が揃っていれば、まず大丈夫だとは思うけどさ」


フタリデナニヲハナシテイルノ?


視界が反転する気分。


ああ、駄目駄目!!!


振り切ろうとするけれど…

ぽわんと頭に浮かぶのは、

玲くんの…べたべた&ちゅっちゅ&とろり。


――ふふふ、可愛いね。


玲くん…凛ちゃんにそうしているのかな。

心に杭が打ち込まれたように、ずくんずくんと心が痛み出す。

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