シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

俺に対して思っているのは何だろう?


失望?

絶望?


憤怒?

軽蔑?



そうだろうな。

そうだろうよ。


俺を信じてくれていたのに。


――助けてくれ。


この俺に頭まで下げたのに。



俺が選んだのは――


緋狭姉だ。


選ばなかったお前に、他人事のように語っている。


酷ぇ男だよな、俺。

自分でもそう思う。

恨まれても仕方が無いと。


「七瀬と朱貴は助けられないまま残してきた。痛いと泣き叫ぶ七瀬に、雄黄から渡された薬を、朱貴が飲ませていたのが…陣が消える本当の直前で。

皆の注視が俺達から僅かにそれた瞬間に、桜に糸を飛ばさせ…兄貴と周涅以外を引き寄せようとしたんだけど、朱貴が首を横に振って…七瀬を抱きしめたまま、糸を断ち切ったんだ。

緋狭姉と小猿と…元凶のアホハットだけ取り込めた処で、陣は発動された」


結局、朱貴はあそこまで体を張って、七瀬奪還を俺達に託したのに…俺達は、身内の問題の二択で、あいつらを見捨てて逃げてきたことになる。


朱貴が小猿の糸を切らなかったのは…これからのことを危惧したのだろう。


七瀬に使い途がある間は、七瀬治療の為に朱貴共々、最低限"生"だけは約束される。


だが、兄貴に邪険にされている小猿が、俺達側に寄っているというのなら。


俺達の元にいる方が、身柄は安全だと判断したのだと思う。


或いは――

小猿に見せられない"何か"が、また起きるのか。

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