シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
「最っ低ッッッッ!!!!」
俺の頬に痛みが走った。
「何が『気高き獅子』よ!!!? 次期当主奪って、今度は玲くんの命も奪うつもり!!!?」
芹霞の目は…憎悪。
俺が玲に向けているのと同じもの。
こんなに心は重なり合うのに、
何故愛情は重ならない?
「芹…」
伸した手は――
「触らないで!!!」
払われて。
「従兄の…玲くんの一大事に、薄気味悪く笑う男なんて、あたし知らないッッ!!!」
そして芹霞は…久涅の手からも逃れて。
「玲く~~んッッッ!!」
俺の前を横切ろうとして。
俺以外の男に元に行こうとして。
ぎりと歯軋りした俺は、
「芹霞ッッッ!!!」
芹霞の腕を掴んだ。
「行かせない。
玲の元には行かせないッッッ!!!」
――芹霞ちゃあああん!!!
「いい加減にしなさいよッッッ!!!」
抗して殴ろうとするその手を受け止め、
俺は芹霞に荒々しく口付けた。
「な!!! や…ッッ!!」
嫌がる芹霞を力で抑えつける。
例えその心が手に入らなくても、
俺は…お前を俺に縛り付ける。
逃がさない。
行かせない。
誰にもやらない。
「櫂、何やってんだッッ!!!
玲がッッ、玲がッッッ!!!!」
煌の叫びも無視して。
玲などいなくなればいい。
裏切り者なんていなくなればいい。
ハヤク――
此の世から消えてしまえばいい。
ハヤクレイヲタスケナイト。
俺の心は、暗澹たる闇があるのみ。