シンデレラに玻璃の星冠をⅡ


「最っ低ッッッッ!!!!」



俺の頬に痛みが走った。




「何が『気高き獅子』よ!!!? 次期当主奪って、今度は玲くんの命も奪うつもり!!!?」



芹霞の目は…憎悪。


俺が玲に向けているのと同じもの。



こんなに心は重なり合うのに、

何故愛情は重ならない?



「芹…」


伸した手は――


「触らないで!!!」


払われて。


「従兄の…玲くんの一大事に、薄気味悪く笑う男なんて、あたし知らないッッ!!!」


そして芹霞は…久涅の手からも逃れて。



「玲く~~んッッッ!!」



俺の前を横切ろうとして。

俺以外の男に元に行こうとして。


ぎりと歯軋りした俺は、


「芹霞ッッッ!!!」


芹霞の腕を掴んだ。



「行かせない。

玲の元には行かせないッッッ!!!」



――芹霞ちゃあああん!!!



「いい加減にしなさいよッッッ!!!」


抗して殴ろうとするその手を受け止め、

俺は芹霞に荒々しく口付けた。


「な!!! や…ッッ!!」


嫌がる芹霞を力で抑えつける。


例えその心が手に入らなくても、

俺は…お前を俺に縛り付ける。


逃がさない。

行かせない。


誰にもやらない。



「櫂、何やってんだッッ!!!


玲がッッ、玲がッッッ!!!!」



煌の叫びも無視して。


玲などいなくなればいい。

裏切り者なんていなくなればいい。



ハヤク――


此の世から消えてしまえばいい。


ハヤクレイヲタスケナイト。


俺の心は、暗澹たる闇があるのみ。


< 1,332 / 1,495 >

この作品をシェア

pagetop