シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
「い、いえいえ!!!
"神崎芹霞は、紫堂玲のことを【優しい家族】の一員ではなく、自分を愛する1人の男として強く意識し、恋愛対象として真剣に考え、この"お試し"では本当の恋人のように愛し愛されることを誓います"」
何だか選手宣誓みたいだけれど。
頑張った。
長いけど、必死に頑張って言ってみた。
あたしだってやれば出来る子だ。
「ん」
玲くんはとてもご満悦らしい。
それはあんな長い台詞を言えたあたしの記憶力に対する賞賛ではなく、あたしにそう言わせることが出来たということに対する満足のように思える。
そして。
「!!!?」
今までのあのしんみりさは何処へやら。
「誓ったんだからね?」
鳶色の瞳に妖艶な光が横切り…まるであたしを挑発しているかのように意味ありげに瞬いて、
「僕を…隅々まで愛してね。
それ以上の愛を、君にあげるから」
未だ免疫のないあたしの顔は沸騰してしまった。
鼻血!!!
何とか…頑張ってくれているようだ。
そんな慌てるあたしを見て、玲くんはくすりと笑って、
「…愉しもうね。
相思相愛の恋人として」
そう言うと顔を傾け…あたしの唇に啄むようなキスをした。