シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
とろりとした鳶色の瞳。
甘い甘い端麗の顔。
「大好きだよ…芹霞…」
もう1回。
「ふふふ。可愛いね、顔が真っ赤…んっ」
更にもう1回。
「あれ…止まらないや…んっ」
おまけにもう1回。
「いいよね、僕"彼氏"だもの」
とどめにもう1回。
「名残惜しいね…」
お土産にもう1回。
最後は音をたてて、少し長かった。
ひ、ひぃぃぃっ。
心臓が!!!
鼻血が!!!
身体は動かないのに、体内は激動している。
わたわたするあたしの事情を知ってか知らずか、玲くんはあたしを抱きしめて、あたしの動きを制するかのようにぎゅっと力を入れ、何度も耳元で囁く。
「君は…僕のものだからね」
甘く甘く。
「簡単に終わらせないからね。
"永遠"…に…続けさせてみせる」
"永遠"
それは――唐突だった。
――………ちゃあああん!!!
此処は…あたしと玲くんだけしか居ない世界だというのに、
何かの声が、割るようにして入ってきたんだ。
か細い…子供の泣き声?
何かを叫んでいた。
誰かを呼んでいた。
まるで置き去りにされた子供のように。
だからあたしは――