シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
白皇が隠していた第4層。
俺と玲と煌が10個の魔方陣を貫いた衝撃にも耐え…さらには、レグの重力子による地形の変形、そして反転にもびくともしなかった…要塞の層。
そこにクマが虚数を緩和させるプログラムに混ぜていた…特定の周波数、そう…クマの携帯の着メロだかになっている子供の声によって、故意的に爆発が起こる仕掛けを施していて。
「力を持たない普通人としては、やはり何か変わった仕草で"魔法"を使いたいだろう?がははははは」
その携帯効果で、3層の魔方陣を4層に落とした。
「久涅が万年筆上げた瞬間と爆破のタイミングずれた時は、どうしようかと思ったんだぞ、小猿くん!!! 折角…この大事なものを入れてる"4次元"銀の袋の中から、高性能の双眼鏡を貸して上げたのに…葉山ばっかり見てるって何だい!!!」
遠坂は、ぽかぽか皇城翠を叩いた。
この魔方陣は"約束の地(カナン)"の住人にとっての要。
落下の衝撃に…久遠も旭も司狼も…何らかのダメージはあったらしい。
それでも無事に4層に落とすことに成功すれば、あとは…
「俺さ…櫂から死ねって言われて、本気でびびったぞ?」
煌が笑う。
「…久遠から散々"仕置き"をされた俺が、不用意に"死ね"なんて言うはずない…いや、言えるはずがないだろう」
俺は笑う。
「後は、派手に"死んで"装えばいいだけ。簡単だろう?」
「櫂、お前…簡単なわけねえだろう。一歩間違えば、全員…」
「ありえない。紅皇と氷皇の導きがあって」
俺は…緋狭さんを見つめた。
「まさかよ~、氷皇のあのゲームの…骨の爆発が、こうしてこの空間から抜けでる…海の下の道を作っていると…誰が思うよ?」
この空間から、細長く続く道は――
今し方出来たばかりのものではなく…かなり古い時代から作られていたように思える。
氷皇は…長く閉鎖されていた道を拓き…逃げ道を用意していた。