シンデレラに玻璃の星冠をⅡ


「……あれ?」


そんな声を出したのは玲くんで。


「芹霞…シートの横に、何か見えない?」


現実に返ったあたしは、玲くんに言われるがまま…顔を覗き込むと、何かが挟まっているのを発見した。


「何だろうね?」


手を差込んでそれを持ち上げると…青い手紙だった。


途端、玲くんは…嫌な顔をした。


だけど、既にがさがさと開いてしまっていたあたしは――



『いやん、結構なものをごちそうさま♪

ん? ご愁傷さま?

あははははは~!!


だけどね?


イラっときちゃったレイクンも

焦っちゃったレイクンも

拗ねちゃったレイクンも

イヂワルなレイクンも

甘い甘~いレイクンも


カ・ワ・ユ・スww


レイクンだけの魔法使い☆


P.S.

今回はアオアオしてないよん』



その文字を見て、あたしが理解に至る前に……玲くんは2枚に渡るそれを取り上げ、びりびりに破こうとした。


その時――



「ストップストップ、玲くんッッ!!!

手紙の後ろに何かついてるッッ!!!」



玲くんが慌てて手を止めた。


便箋の裏についていたのは――



「それ…『S.S.A』のチケット!!!」


それは、セロテープで留められた2枚の青いチケット。


「凄い、チケット買うだけでも1ヶ月待ちのテーマパークのご招待券じゃない。しかも…1日パスポート!!!」


『S.S.A』。


それは、西早稲田に出来た、巷のカップルに大人気の巨大複合施設。


カップルじゃないと入場できないというから、ずっと諦めていたあたし。


玲くんは無言で…そして大きな溜息だけをついた。


「玲くん、今日限り有効だって!!!」


行きたい。


面白いと評判のS.S.Aに行ってみたい!!!


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