シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
虚数は、0と1を食らうように…ゆっくりと増殖している。
そしてそれは、僕の把握出来ぬ"曖昧な"力を蓄えていく。
僕という"明確な"存在が、0と1で構成されているのなら。
何れか僕は、虚数の猛威に脅かされるだろう。
何とか今の状況では、多く残留する0と1のみを選別して拾い集め、僕の力の糧と出来ないことはない。
だとすれば紫堂の力が使えるうちは、僕の…虚数から身を守る為の結界としなければいけない。
僕は、紫堂の力で相手を倒せない。
ゲームで言えば、技…"奥義"がそれに相当するだろう。
頼れるは僕自身の…体術。
今まで通り、連続技で畳みかければ大丈夫。
そう思っていた矢先――
決勝戦で対戦したのは、"軍神"操る魔法使い"ゆんゆん"。
由香ちゃんだけが操作出来るレアキャラ。
「な、何で…由香ちゃんが…!!?」
正直――
僕は汗をかいた。
由香ちゃんの強さは判っている。
彼女は生粋のゲームマニア。
その強さは筋金入りだ。
それでも僕が勝ってきたのは、裏奥義連続発動によるTKOが出来たから。
裏奥義が使えねば、僕はそれでも由香ちゃんに常勝出来ると言い切れる自信はない。
彼女の強さは、連続技から繰り出す…容赦ない奥義の連発。
何より彼女が操るゆんゆん自体、攻撃力も防御力も半端じゃない。
更に僕は――
力を全てを虚数排除の結界にと回し、技すら使えない状態。