シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
 


「馬鹿犬ッッ!!!

名を名乗れッッッ!!!」



突然、芹霞がそう怒鳴った。



「名前だ、名前ッッッ!!!

"名無し"なのかッッ!!!?」



俺は怪訝に思いながら、



「如月煌…」



誰もが知っているはずの名前を呟く。


何だか頬が更に腫れ上がってるから、もごもごしか響かねえ。



「何その、ふて腐れた態度はッッッ!!!」



違う、もごもごは頬が痛くて動かないから…。


――なんて、通用する雰囲気じゃねえ。



「もう1回大きい声でッッ!!!

――名前はッッ!!?」



「如月煌ッッッ!!!」



もう半分ヤケクソになって、痛み堪えて叫んだ俺に、



「判ってるんじゃないのッッ!!!」



またもや芹霞は仁王立ち。



「あんたはあたし達のよく知る"如月煌"なんだよッッ!!

あんたは制裁者(アリス)の"BR002"じゃないッッ!!!

心で自覚しているのなら、早くさっさと素直にならんかッッ!!」



無意識とはいえ…。


俺は言葉に詰まる。



「またそのふて腐れッッ!! あんたはそんなに制裁者(アリス)に…"BR002"になりたいの!!!?」



胸倉掴んでそう怒鳴ってきた。



「そこまで制裁者(アリス)に味をしめたの!!?」



だから、俺はもう反射的に…

痛みなんて意識の向こう側に回しながら…



「んなわけねえだろッッ!!!」



やべ…。

ぽろっと…。



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