シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
「だったら、さっさと戻ってこないかッッ!!」
「戻れるなら戻りたいさッッ!!!」
やべ…。
いつものように…売り言葉に買い言葉。
絶ちがたい"日常"を認識したからこそ、もうそれが許されないと思った俺は、半ば消沈しながら言った。
「だけど、だけど俺は…
お前の…いや、お前自体…」
そんな俺の悲痛の叫びを打ち消したのは、
「「はあ…っ…」」
玲と桜の呆れた様な…わざとらしい溜息。
「頭の悪い犬が…何かほざいているね、桜。あまりに馬鹿馬鹿しくて、僕、眠くなってきちゃったよ…」
「本当ですね、玲様。少し見ぬ間に、人間の言語をすっかり忘れ、"お手"すら出来ない…ただの愚鈍な畜生に還ってしまったとは…。いつもは"あれ"でも、かなり随分とマシだったんですね…」
カチン。
「お、お前達~~ッッッ!!!」
思わず立ち上がって憤ろうとした俺に、
「あああ!!!? 文句あるの!!!?」
ぞくり。
目を据わらせて威嚇してくる芹霞が、途轍もなく怖え。
緋狭姉に叱られてる気分になって仕方がねえ。
俺は本能的に震え上がり、また正座し直した。
「2人に文句でもあるの!!!?」
俺は――
身を縮こまらせて…ふるふると首を横に振る。
「反省した!!!?」
昔から芹霞は、"本気"で俺にぶつかってくる。
それだけ俺が、芹霞にとって情けねえ存在かもしれねえけど。
「反省したのッッ!!?」
だけどこの怒りは過去最大級だ。
「反省してるか聞いとるんじゃ、
――ボケッッッ!!!」
俺は慌ててコクコクと頷いた。