シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
単純な疑問だった。
俺が作った骸の山…桜や玲が処理したのか?
何にもねえ。
「消えたんだ」
玲が言った。
「あ?」
今…なんて言った?
「少しずつ少しずつ…。逐一観察していたわけではないけれど、気づけば死体の数は減り行き――そして今、そうした物体の姿はまるでない。消えてしまった」
それは…真剣な堅い口調で。
ない?
消えた?
はあ!!?
「元々の人の数がどれ程此処に入っていたのか僕は判らない。
最初は気のせいかと思って、深く考えていなかったけれど…今見たら、皆無。
桜。この中に…どれくらいの骸があったんだ?」
「恐らく…百は下らないかと」
「百…!!!?」
俺の声が裏返る。
「元々、このS.S.Aは…今日はイベントの為に、300人限定貸し切りらしい。そしてこの雨。300人MAXまでこの建物にいたかどうかも判らないし、そのうちのどれ程がこの会場に流れていたか判らないけれど…3分の2はいたんじゃないかな。メインイベントだし」
「イベント? 此処で…何が行われてたんだ?」
俺は目を細めた。
「ライブだ。…Zodiacの」
玲が言った。