シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

「今の東と西の関係を計算式に表すとすると…


" +10km× -1 "=" -10km "になるね?」


芹霞は頷いた。


凄い。


芹霞は頭がいいらしい。


始点に居るんだから俺、"0"だと思った。


「てめえが理解出来なすぎだｯｯ!!!」


また桜に怒られた。


何か…桜、酷く機嫌が悪いらしい。



「真ん中の始点から東…右端を"+10km"、始点から西…左端を"-10km"として、両端を通る直径20kmの円を描いてみた時、"+10km"から見て"-10km"という位置は、180度回転させた位置関係にあるっていうのは判る?」


芹霞はこくんと頷いた。


「うん。円の上半分…半円の角度は180度だものね」


ちゅ。


「よく「れ「黙れｯｯ!!」


「つまりこれも…"+10km"に180度という"-1"を掛けたら、"-10km"になるね?

だったら、"-10km"になったものを再び180度回転したら、どう表現出来る?」


「"+10km"。今度は円の下半分を回転しようが、上半分をまた元に返そうが…結局は同じ場所に戻っちゃうね。計360度分、動いたものね」


ちゅ。


「よく「れ「しつこいな、てめえｯ!!」


しつこいのは玲じゃんか。


ちゅっちゅ、ちゅっちゅ…。


嵐。

嵐。


「れ「黙れｯｯｯ!!!」


桜に殴られた。