シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
 
僕は涙を忍んでバングルに口をつける。


僕だけを思いながら買ってくれた月長石のバングル。


恋の願掛けを可能にする月長石ならば。


今ひとつ奇跡を下さい。

願いを叶えて下さい。


どうか僕に芹霞を下さい。

どうか芹霞の愛を下さい。


櫂のことを思い出さないのなら、

僕は身代わりでもいいから。


櫂への愛情全てを、僕に下さい。

櫂へ望む永遠を…僕に向けさせて下さい。


僕が永遠で、僕が運命だと。


どこまでも芹霞にとって特別な男にさせて下さい。


どうか、僕の月長石よ。


願いを叶えて下さい。



「どうして…上手く行かないんだろうね。

折角仲直りしたのにね。

僕はそんなに…魅力ないのかなあ」


どんなにお洒落してみても。

どんなに人にみせつけるような愛情注いでも。


僕自身に目が向けられていないのであれば。


「何をすれば…君の心に入れるんだろうね」


君はこんなに温かくて。

こんなに柔らかくて。


だけど心の前には、がちがちとした冷たい防護壁。


打ち崩したいよ、僕が。


櫂の為に立てた壁だというのなら。


僕が打ち崩したい。

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