シンデレラに玻璃の星冠をⅡ


「僕を選んでよ…」


僕は眠れる愛しい人に口付ける。


「……んっ……」


身動ぎした芹霞の目から、涙が一筋零れ落ちた。


涙したのは、現実なのか夢なのか。


「ねえ…今、君はどんな夢を見ているの?」


誰が出演しているの?

誰を愛しているの?


そこには…僕はいる?


そこにいる僕は…幸せ?


涙流さず…笑ってる?


君の隣で、君の愛を手に入れて。


君に…永遠を約束する指輪…贈れてる?


僕は…君を手に入れられているの?


そうだとしたら…

ああ、なんて幸せな夢。


僕が、欲しくて欲しくて堪らない、

そんな幸せな夢。



だけど現実は――。

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