シンデレラに玻璃の星冠をⅡ


あたし達は店長に手招きされるがまま、奥のドアを開けて隣の部屋に連れて行かれた。


――お願い聞いてくれたら、洋服は差し上げます。


そう囁かれて。


無料!!


だけど無料ほど気をつけねばならぬのは庶民の鉄則。

あたしは庶民の心強い味方である節約の先生、玲くんにそう習った。


無料の話は裏がある!!

玲くんも何か感じたか、警戒に満ちた固い顔をしている。


ここは悪いけれど…


――珈琲をお出しします。

――あたし珈琲飲めないし。甘党だから。

――では、紅茶と…おいしいショートケーキもつけます!!


よし、話だけでも聞こう。


ショートケーキの誘惑に勝てなかったあたしは、渋る玲くんの手を引き、店長さんについていったんだ。


黒と白の…洒落たデザインの、機能性は期待できない机と椅子。


玲くんは絶えずきょろきょろして。


――とりあえず、青色がないから安心だ。


青色ノイローゼにかかっているようだ。


椅子に座ると同時に、レジにいたお姉さんが持ってきたのは…金縁模様の高級そうなカップに入れられた珈琲と、皹入っている…茶色に変色したカップに入れられた紅茶。


大きいイチゴがついた艶々ショートケーキは玲くんの前に置かれ、半分に切られたイチゴが欠けた皿に転がり…横向いて崩れまくってしゅんと小さくなっているのが、あたしに置かれたケーキ。


にやりと笑う女店員に思わずむっとした時、玲くんは平然とした顔で、あたしとケーキの皿を取替え、崩れたケーキと珈琲を突き返した。


「折角ですが、お気持ち共々…僕には全く必要ないので」


完全拒絶の姿勢に女定員は、あたしを睨み付けながらそれを下げた。


何だか気分がいいや。





< 498 / 1,495 >

この作品をシェア

pagetop