シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
何?
あたしが机に潜っている間に何が起きたの?
「さあ、芹霞。困った時はお互い様だからね、頑張ろうね」
にっこり。
「が、頑張ろうって…テレビ出るの!!?」
「勿論さ。僕がいるから大丈夫。君はにこにこしていてくれれば」
にっこり。
何で玲くん、方向転換!!?
「芹霞、イイ子にしていてね?」
何でそんなに嬉しそうなんだ?
「玲くん、現実を考えようよ、ね?玲くんだけならまだしも、あたしなんか出た途端、皆テレビを消しちゃうから。それは人助けじゃないから。むしろ邪魔しているだけだから」
あたしは一所懸命玲くんを嗜(たしな)めるけれど、玲くんはにこにこしながら聞いてくれない。
「ふふふ、じゃあ芹霞ちょっと支度しておいで。そのままでもいいけれど、より綺麗になって僕に見せてね」
本当に嬉しそうで。
待って、待って!!!
何かおかしいって!!
あたしテレビ放映される顔でもないし、永久保存されるようなものでもないから。
自分が番組に出たのを永久保存したいのなら、玲くん…もう少しましな子を隣に立たせたほうがいい。
「玲く「店長。その間、僕をその…APEXの知り合いという方にお引き合わせ下さいませんか?」
駄目だ。
玲くん、聞いてくれない。
「玲く「少し…音響設備を見学させて貰いたいのですが、取り持って頂けませんでしょうか」
玲くん、玲くん!!
「見学? ああ…どうだろう。ま、とにかくじゃあ…彼女が支度出来るまで、上に行ってましょうか。ああ、その前に先に聞いておくか。
APEXに居る、黄幡くんが…音響担当だったはずだし」
ぴたり。
あたしも玲くんも動きを止めた。