シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
 
玲が芹霞に惚れこんでいるのは判っている。


玲が俺に遠慮して、思い悩んでいたのも知っている。


玲が耐え切れず、本気に動き出したのも知っている。


知っていて…何もしなかったのは俺。


――約束、して欲しいんだ。


知っていて、その愛の強さを芹霞の守護にと望んだのは俺。


俺が居ない所で玲が芹霞に何をしようと、芹霞を守ってくれるのならば、目を瞑るつもりだったのは俺。


それが…何故に、

こんなに納得いかない?



――紫堂櫂を愛してる!!!



どうして?

何で?


心が暗黒に覆われていきそうだ。



「れいくんとせりかちゃん、

結婚しちゃうの~?」


久遠と久涅が蓮と共に退室した直後、旭の無邪気な笑い声が聞こえた。


残酷な、残酷な…笑い声。


「お姉さん…紫堂玲にしちゃったんだ? 

へえ…ご愁傷様、紫堂櫂」


――紫堂櫂を愛してる!!


「し~っ!!! し~っ!!! 紫堂が落ち込んでいるんだから空気読め…と言ってもKYの君達には判らないかもしれないけれど、此処は黙っているッッ!!」


「え~ッッ!! 子供は素直が一番じゃないかッッッ!!」

「ボクよりも年上の癖にして、子供ぶるんじゃないよ。旭…君もだッッ!! きゃははははじゃないよッッ!!!」

「え~。僕達子供だよ、何にも判らないもの」

「旭も旭も~ッッ!! 子供、子供…きゃははははは!!!」

「紫堂玲、電脳世界だかの女はべらせて、お姉さんもか。あっちもこっちも凄いな~。紫堂玲の子供が世界にうじゃうじゃ出来るな~」

「うじゃうじゃ~。きゃははははは!!!」


「師匠はッッ!!!」


玲は…。


「スケコマシじゃないよッッ!!」


軽薄男じゃない。


「由香ちゃん、スケコマシ?」

「君の主みたいに、女に節操ない奴のことさ!!!」

「んーんー。"変態"とどっちが偉いの?」

「従僕としては紫堂玲より久遠様…と言いたいけれど、変態の方が強い響きがあって偉そうだな」

「強くも偉くないし、師匠は変態じゃないってばッッ!!!」


だからこそ――


「師匠を悪く言うなら、久遠に言いつけて三重苦…」

「"ウィーーーン"は終わっただろ!!?」

「終わった、終わった。"ウィーーーン"。

きゃははははは!!!」


だからこそ――

心が揺れるんだ。
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