シンデレラに玻璃の星冠をⅡ


久遠。

お前何作ったんだよ。

イメージキャラクターって何だよ?

お前の趣味、そこまで堕ちたのかよ?


僕聞いてないよ?

櫂は知っているのか?

櫂が認めたのか?


頭の中は疑問符だらけ。


――あははははは~。


感嘆符処の話じゃない。


「ティアラ姫の王子様~ッッ!!!!」


何でぶちゃいくワンコが王冠被ってマント羽織って、"約束の地(カナン)"に闊歩しているのさ!!!


考えただけでホラーじゃないか。

何であんなものを等身大にして動かしているんだよ。


――久遠、あたしね…


芹霞が大好きなネズミーランドの模倣に違いない。


どうせ芹霞がネズミーランドもティアラ姫も好きなのを知って、真似して作ったんだろうけれど…こんな全国規模で大々的に宣伝してしまって、お前著作権とかどうすんだよ?


まさかその責任…

スポンサーであり管轄者である紫堂に被せる気か!!!?


待てよ、"約束の地(カナン)"の指揮は次期当主の櫂だったから、櫂がいない今、責任を取らないといけないのは…


僕!!!?


僕があのクラウン王子のクレーム処理するの!!!?



「行きたい、"約束の地(カナン)"に行きたい!!!」


やだ。


「クラウン王子にぎゅうされたい!!!」


絶対やだ。



「玲くん、写メとってもらおう?

あ~きゅんきゅんしてきちゃった!!!」



芹霞。


お願い。


僕を見て?


ぶちゃいく王子なんかに目を奪われないで?


流石に僕…傷つくよ?


クラウン王子なんかに、君を取られたくないよ?


「芹……」


そう手を伸ばした時だった。



何かの瘴気を感じたと同時に――



爆発音!!



そして――


「ぎゃあああああ!!!」



野太い悲鳴が耳に届いたのは。


この声は――


「三沢さん!!!?」


隣の音響室にいる三沢玲央の声だった。


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