シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
「此処…台場のど真ん中だぞ? 何で更にこんなに暗くて死んだ街になってるんだ!!? 人は何処だ…って言うか、まるで暗くて見えないけれど」
三沢さんが、一人で突っ込んだことに苦笑したらしい。
東京臨海副都心――
公式愛称は"レインボータウン"。
複数の特別区を総称して"お台場"と呼ぶ領域には、僕達が当初向かっていた有明も含まれる。
東京都が策定した7番目の副都心は、そのその美しい景観を夜景でも楽しめるように…煌びやかな電飾で彩られ、いつでも人は集まっていたはずだった。
その中心部が――
暗闇に包まれている。
時刻は6時を少し過ぎたあたり。
日が落ちるのが早くなったこの季節、この時刻でも真夜中のような漆黒の闇に覆われている。
不気味な程に――。
「玲くん…此処に何があるの?」
芹霞がびくびくしながら僕を見つめた。
此処は、芹霞と夜景を見ようと思っていた場所だった。
しかし…この場所を選択しなくて正解だった。
綺麗な夜景処か何も見えず、ただ闇雲に不安を掻き立てるだけならば。
ああ――
でも結局は来てしまったんだね。
しかも。
印象は最悪。
電飾が消えた暗闇においては、
すぐに目で捉えることは出来なかったけれど。
僕の目は捉えた。
"それ"を。