シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

静寂が、拡がった。


「ななな、何で突然"しーん"?

れれれ、玲くん…なんかお話しようよ。

クマも黙らないでさ。ガオガオしてよ」


僕は…そっと芹霞の手を握る。


「ひいいっ!!!?」


驚いたらしい芹霞が飛び上がった。


「大丈夫だよ、僕がいるからね」


宥(なだ)めるように優しい口調で。

しかし僕は"上空"を睨み付けて。


芹霞の手を強く握ったのは意味がある。


勿論、"愛情"は大きいけれど。


それだけじゃない。



「ああああああ…」


動揺したように声を上げたのは、三沢さんで。


気づいたんだね。


そして――

芹霞も気づいて、叫んだ。



「嘘、ねえ…あれあれ!!!」



指を差した真上。


其処には――



「「黒い塔!!!? 此処にも!!?」」



芹霞と三沢さんが同時に叫ぶ。



池袋で出現した黒い塔。


そして多分…

赤坂で出現したという黒い塔と同じく。


台場まで出現していたとは。

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