シンデレラに玻璃の星冠をⅡ


「なあ――…」


僕の煩悶を知ってか知らずか、三沢さんが声をかけてきた。


「"世紀のスクープ"なのに、報道陣が、あの塔に対して何も騒いでいないというのが引っかからないか?」


確かにそうだった。


空にヘリは飛ぶけれど、それは塔というよりは…ただ巡回しているだけのようにも見えてくる。


何より辺りが静か過ぎて。


「何で無関心でいられる? 俺なら飛びつくぞ? まあ報道陣の大方、KANANでの"重大発表"にとられて、人が居ないのは判るが」


"約束の地(カナン)"。


櫂…。


お前大丈夫か?


心がぎゅっと締め付けられる気がした。


"約束の地(カナン)"で、久涅は何かを画策している。


駆け付けて、櫂を守りたい。


だけど!!!


「玲くん…? 寒いの? 震えてるね」


芹霞が繋いだままの僕の手に息を吹きかけて、温めてくれた。


色々と不安だけが大きくなっている。


僕は――

芹霞と"お試し"をしていていいんだろうか。



僕は――

芹霞と"お試し"をしなくていいんだろうか。



僕は…。

僕は…。



そんな時だった。



キキーッッ!!!



車が突如急ブレーキで止ったのは。

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