シンデレラに玻璃の星冠をⅡ



「三沢さん、どうしたんだ!!!?」


急ブレーキの反動で、前のめりになって前の座席に衝突しそうになった芹霞を、片手で抱き留めながらそう問えば、


「暗闇から子供が飛び出してきたんだ!!!

やばい、轢いたかも!!!」


三沢さんが慌てながらシートベルトを外し、運転席から降り立つ。


「轢いた!!?」


子供?


僕はそれが嫌に気になって。


いつものような活気溢れる東京ならまだしも、


誰もいない台場。

真っ暗な台場。


そんな中で――

子供が居たって?


何だか僕はそれが、ありえない事象のように思えたんだ。


どくん。


僕の心臓が不吉な音を立てた。



「おい、坊主、大丈夫か!!!?」


三沢さんの声。


「大丈夫かな、あたしも様子を…」


窓を開けて心配げに様子を見ていた芹霞も、ドアに手をかけた。


「待って…」


どくん。


何だか嫌な予感がするんだ。


どうして僕は、その子供の気配を掴めない?


生体反応がない状態なのか?


もしそうでないならば――


「君は此処に居て」


僕は芹霞の腕を引いた。

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