シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
「あのヘリ――
青色に見えるのは…
あたしだけかな?」
ぴたり。
僕の手の動きが止った。
「え!!!?」
そう言われれば…。
青っぽい。
否。
真っ青だ。
だからか?
だから腹立たしかったのか?
何で青?
ヘリって青色なの?
マスコミってそうなの?
そうなんだ。
そうに違いない。
今のマスコミは、青が"カラー"なんだ。
そう思いたい。
「珍しいな、あんな色のヘリ…。
何だか胡散臭い色だ」
三沢さんの言葉から――
期待は裏切られたことを知る。
――あははははは~。
何で?
どうしてヘリまで?
もう来るな、来るんじゃない。
「三沢さん、引き返そう」
あくまで――
自分にかかる災難という意味で、
悪い予感しかしない僕はそう提案した。
しかし――
「こんなどでかい事件で、
目撃証言というものは貴重だ。
これは"スクープ"になるぞ!!?」
報道精神に火をつけてしまったらしく。
「ローン完済も近付く!!!」
いや、金の方が重要なのか。
三沢さんは――
亡くした妻子に拘り、家のローンだけは支払い続けているようで、
「とことん、お前さんに付き合うぞ!!!」
三沢さんを巻き込んだのは僕だし。
ヘリを追うくらい、我慢しよう。
氷皇の影が見えたら無視して、引き返せばいいや。
僕は心に決めた。