シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
ずるずる、ずるずる…。
「せめて向きだけでも…」
「そういえば呉羽サン…。きっとあの塔のせいで…ぐすっ」
芹霞はまるで聞いていないようで。
ずるずる、ずるずる…。
「クレハさんより、俺の皮膚が…」
「ぐす、ぐすすっ…」
完全自分の世界。
ずるずる、ずるずる…。
「嬢ちゃん、俺の話を…」
「呉羽サ~ン!!!」
僕の背後となった芹霞が、何やら叫んでいる。
バタン。
ドアが締まる音がした。
ああ、三沢さん…お大事に。
それでも緊急避難出来たことにほっとしながら、僕は間合いを詰める。
こつん、こつん。
小さな足音が近づいてきている。
「僕としたことが…彼女の予想外の動きに、思わず呆気にとられて脱力しちゃったよ」
闇に浮かび上がる白い輪郭。
この服装は…もう見飽きた。
「やあ…久しぶり『白き稲妻』」
幼い声がした先は――
「僕を…雅を感電させた…
あの時の屈辱――忘れてないよ?」
翠の護衛役だという凱だった。
予想通り。