シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
車を追尾するように投下された1つの鉄の環を、僕が持っていた環を投げてそれにぶつけ、軌道をそらし闇に消す。
「あらあら…よろしかったのですか、置いてきぼりにされて」
「僕だけが…君専属の相手を務めさせて貰うのは不服なのかな」
雅は必要以上、車を追いかける気はないようで。
僕だけに意識が向いているのなら尚更のこと。
これで……いい。
僕は満足感があった。
例え僕が…死んでも。
例え僕が五体満足でなくなっても。
芹霞が無事であればそれでいい。
芹霞が笑顔でいられるのならそれでいい。
僕は役目を全うできたと思えるから。
僕は――
いつまでも…
逝く瞬間までも君を想い続ける。
芹霞…。
――紫堂櫂を愛してる!!!
君から想いを奪ってごめん。
それ程、僕は君が好きだった。
君の恋人になりたかった。
君は…僕が諦めきれない唯一無二の女性。
君の花嫁姿…
ああー―
君が僕のお嫁さんになってくれれば…
どんなに至福だったろうね?
好きだよ。
本当に本当に…。
君と出会えて幸せだった。
この先――
もう会えないとしても。
いつまでも…
変わらずに愛してる。
それだけは忘れないで?
――約束、して欲しいんだ。
櫂――。
命をかけて芹霞を守るから…
それで…少しだけ――
僕を…許してくれないか?
それを僕の…
罪の贖いとさせてくれないか?
横恋慕してごめん。
だけど最後まで――
芹霞を想わせて欲しい。