シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
迎えに来た怪しげな色のヘリは、操縦席は帳に覆われ…僕が乗り込んだ後部は、常識的な"後部座席"とは到底表現出来ない多くのものを運搬できる広さがあった。
報道用と言うよりは軍用機に近いんじゃないだろうか。
大の男が座れば、10人は乗り込める。
僕が面食らったのはその広さだけではない。
まるで装飾品のように――
ヘリに溶け合うように存在している機械群。
点在する電光。
紛れもなく、純粋な"0"と"1"のコードで成り立つ電波が感じられる。
一体…この機械は何だ?
虚数に侵蝕されつつある東京と独立する電気系統を持つなんて、
――あはははは~。
やはり…氷皇の持ち物か。
「玲くん、怪我して血だらけ!!
さっきね、色々見つけたの!!!」
芹霞は、やけに目立つ青い…大きな箱から、大きな青いバスタオルを持ち出して、僕の血を優しく拭い始めた。
「玲くんの綺麗なお顔まで。
痛いね…玲くんごめんね…」
悲痛な声で、頬に手が添えられる。
「こんなにさせてごめんね…あたし…」
何か言いたそうに、何か言いにくそうに。
「あたしね…玲くん…」
黒い瞳は僕をじっと見ていたのだけれど。
「あたし……」
その先の言葉がどうしても出てこないようで。
「芹霞…?」
僕が首を傾げた途端――
芹霞の目が見開いて、突如沸騰した。
「玲くん、服、服!!!」
「ああ…破けちゃったから…」
「ええ!!? じゃあバスタオルを撒いて…」
何処のオトメだろう。
「別に…着なくても…」
「駄目!!! 玲くんは、裸で家の中歩いてる野生ワンコと違うの!!!」
煌…。
今度シメよう。
というか、芹霞…。
君は紫茉ちゃんの家で、僕が全裸でシャワー浴びてた時に、突然入ってきて抱きついてきた仲。
今更だね…。