シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
私は、その封筒に目を向けて…そのまま、目だけでちらりと氷皇の藍色の瞳を見遣った。
玲様に渡したくない。
凄く――
いやな予感がして。
絶対、玲様は…"えげつなく"キレる気がした。
「ん?」
にこにこと笑いながら、首を傾げて…氷皇は、ずいと青い封筒を私に突き出した。
私の顔は拒否感に引き攣った。
「ん?」
更に封筒が目の前に突き出される。
『愛するレイクンへ』
名指しの封筒に…
いいことなど書いていない気がする。
玲様の冷ややかな顔ばかり脳裏に浮かぶ。
今、玲様は大変な境遇にあられて。
そう。
こんな氷皇の茶番に付き合う暇などなくて。
だから私は、玲様を守る為に――
「受け取らないと――
チクっちゃうよ、カイクンのこと」
「………!!!」
「ねえ…君がどんなにカイクンに仕えている気でもさ、カイクンは今…誰に仕えているんだっけ?
……ん?
――どうだ、桜?」
突如変わる威圧的な声色。
「アカが人情でお前を助けたなどと生温いことを考えるな。
この劇の"案内人"は俺だ。
お前らなど、俺の意志一つで何とでもなる。
舞台から引き摺り下ろすことは至極簡単だ」
氷皇特有な…酷薄な笑い。