シンデレラに玻璃の星冠をⅡ


"案内人"


全てが必然的事象だと、そう断言されて。


全ては、氷皇の手の平の中だと…そう笑われて。



「誰にチクるまでもない。

櫂の命など、簡単に消せるんだぞ?」



その歪んだ顔に…私は寒気を覚えた。


そこにあるのは…青い"狂気"。


存在だけでも圧倒的な力の差を見せつける、冷酷な青に染まった男。


足1本で権威の頂きまでのし上がってきた男は、人の心など持ち得ない。


謀略、奸計。


決してその心を表に出さず、他人に付け入る隙を見せない。


誰も信用しない。

誰にもその心の内を見せない。


凍り付いた心故に――

氷皇と呼ばれる男。


命を投げ出した処で、彼の氷の心を抑圧できる人間などいないだろう。


どんな命乞いも、どんな感傷も…彼には通用しない。

彼の機嫌一つで、即座に此の世から消える。


それが罷(まか)り通るだけの権力と力を持った男の前では、


私は――

虫けら同然なのだ。


虫…そう、蛆のようなものなのだ。



しかし――


「アオ」


氷皇を止められる唯一の人間――


「桜で遊ぶな」


緋狭様がいる。





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