シンデレラに玻璃の星冠をⅡ


「……状況が似てたから?」


続けて変なことを言い出して。


「だから、何かを思い出したの?」


思い出す?


「思い出して…拒むんだ?」


「拒むって…別に…。拒んでいるのはむしろ…」


"玲くんでしょ"


その声は続かない。


あたしの身体は持ち上げられ、玲くんに抱きしめられていたから。


「まだ終わってないんだよ!!!

早く…終わらせないでくれよ!!!


その返事は――

最後の最後にしてくれ!!!」



切なげに掠れてしまっているその声。

元気がないのは、体調のせいもあるだろう。


だけどそれ以上に、心の動揺を感じ取った。



「最後の最後に――

僕はもう一度君に言うから。


その時まで、頑張らせてよ!!!」


玲くんの身体が震えているのが判った。


「今は、何も言わないでくれ」


あたしを守ろうとしてくれていた玲くんの全身が、あたしの言い出した言葉によって震えている。


あたしが…傷つけているの?


あたしからは言っちゃいけないの?


恋愛初心者には、そうした心の流れがよく判らなくて。


ただあたしが玲くんを傷つけたという現実が辛いだけで。


とにかく今は…

何も言ってはいけないと――


そう思った。


言ってと言われて、途中まで言いかけて。

それで言うなと拒まれているのなら。


"最後の最後"とやらを待つしかない。


しかし玲くん…。


今気づいたんだけれど…。


「玲くん、お着替えしたでしょう!!?

なのに何でまた裸!!!?」


あたしが着せて上げたティアラ姫のトレーナーは、投げ捨てられている。


「………。裸じゃないよ、ちゃんとタオル…」


玲くんはあたしからそっと身体を離すと、出来た隙間から…身体に巻き付けた青いタオルを見せた。


無造作すぎて、そこが余計に…。


「そういう格好を玲くんがしたら…鼻血もんだから!!!」

「不評なら、取るけど…」

「うわっ、玲くん…取らなくてもいいから。いいって…うわわっ!!!」


慌てふためいたあたしは、玲くんを押し倒してしまった。


完全馬乗り状態。


「ごめん、玲くん病み上がりなのに…」



その時。



「おーい、メシ買ってきたぞ!!!」


後のドアががらりと開き。



「「「……」」」



また閉じられた。


あの姿は…クマ男だったんじゃ無かろうか。


いや…幻だろう。


クマ男は今操縦中だ。
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