シンデレラに玻璃の星冠をⅡ


久遠は――

まだ詠唱に入っていない。



久遠の手を止めるわけにはいかない。


ああ、力が使えれば。


こんな雑魚共、一掃できるのに。


自らの立場を恨めしく思いながら、剣と体術を平行して複数の敵を地面に叩き付ける。



「天照皇太神の宣(のたま)はく、

人は則(すなわ)ち天下(あまがみした)の神物(みたまもの)なり」


久遠が祝詞を唱えた。


びぃんというような、弦が震えたような緊張感が空気に走る。


一瞬。

瘴気を纏う全てのものの動きが止ったように思う。


そして…一斉に動きを強めたんだ、全てが。


蛆は狂ったようにもぞもぞと動き、蚕の両先端はびちびちと暴れ。

音楽の音声は大きくなり、映る映像も激しく。


制裁者(アリス)は、突如耳を押さえて叫び声を上げた。


「須(すべか)らく掌(しずま)る静謐心は則神明の本主たり

心神を傷ましむること莫れ 是の故に…」


久遠の声…か?


先程久遠が音によって周波数を乱されたが、同じコトを久遠がしているのか?


それが…浄化の術なのか?



「目に諸の不浄を見て 心に諸の不浄を見ず 

耳に諸の不浄を聞きて 心に諸の不浄を聞かず」



震える。


久遠の聖なる言霊を伝えて、

瘴気に塗れた空気が震える。



制裁者(アリス)がばたばたと地面に突っ伏す。


耳から…血を吹き出している者も居る。


内耳…内部から破けたのか?


暴れる蛆と蚕。


蚕は突如破裂し、汚濁液が舞い散った。

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