シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
「妹の過剰な反応を坊の"死"に色添えしようと利用した私は、芹霞の想いを見誤った。妹の前での坊の殺害は…予想以上の"衝撃"すぎたのだ。
坊の記憶は一切消滅した。揺らぎもしない。存在していないものとすることで、今の芹霞の精神は保たれている」
「!!!」
櫂様が…。
それを櫂様が知られたら…。
ようやく叶った想いを振り切り、未練を断ち切って、私達を守る"切り札"を決行された櫂様が、その事実を知られたら…。
胸が苦しい。
…櫂様の心を思えば…。
何と嘆かわしい事態!!!
「その横に玲がいる。玲の"次期当主"としての扱いは悲惨だ。坊のような恵まれた立場ではない。そして紫堂は…皇城との関係を深める為に、玲を捨て駒にしようとしている」
「捨て駒…?」
「多分、今頃あいつは…採択を迫られているだろう。
芹霞を守る為に、そして情報を得るために久涅の…当主の懐に飛び込んで"次期当主"になったのだろうが…それが裏目に出ている。
皇城と紫堂の間に、縁談が出ている」
「縁談!!!?」
私は――
発作を起こす玲様を思い浮かべた。
それでなくとも玲様は。
――紫堂櫂を愛してる!!!
芹霞さんの想いを知って発作を起こされた。
その芹霞さんの記憶がなくなって喜ぶ玲様ではないはずで。
我が身を犠牲にするお優しい玲様に…縁談!!?