シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
「厳密に言えば、紫堂の"次期当主"との縁談だ。紫堂に…当主にとって、皇城と婚姻関係になるのは、玲だろうと久涅だろうと坊だろうと…誰でもいいはずだ。まさしく…渡りに船。成り上がりの烏合の衆ににとっては、由緒正しき家柄と縁戚関係になるのは、願ってもいないことだろう」
「それは…皇城側からの打診ですか?」
「皇城の№2が提案したらしい」
№2ということは…
私は、にやにやと笑う氷皇を見つめた。
「七瀬周涅…大三位たるあの男か!!!」
私は…私の指や胸の骨を笑って折り続けた、忌々しい赤銅色を思い出した。
皇城家と関係を深めることは紫堂には意味がある。
では。
紫堂と関係を深めることに、皇城にはどんな意味がある?
それを尋ねた時――
「はあい、アカ。お口チャ~~ック」
氷皇が、結んだ唇に沿わせるように、手を真横に引いた。
「皆の頑張りにお喋りを許してあげてたけど、さすがにアカ。
それ以上は…罰則(ペナルティー)食らうよ?」
誰に?
そこをぼかして氷皇が笑ったのは、故意的なんだろう。
緋狭様は舌打ちをした。
「――力になれなくて、すまんな」
「いいえ、緋狭様。それだけ教えて頂ければ十分です。御礼を申し上げます」
益々、気を弛めてはいけないことが判ったから。
私が。
動かないといけないことが判ったから。