白緑蝶"vacances【続2】
拙い日本語で話す青年から距離
をとった百枝の手を、握る手は
ぐいぐいと百枝のことを引っ張
る。

「さあ、いきましょう」

「行くってどこに?」

二人は、ビーチの方へと歩いて
行く。

その後を見失わないように追う
真澄。

辺りを見渡すと、どこまでも
青い空と、真っ青な海が広がる

空の色を映す、水の鏡の美しさ
に真澄は目を奪われた。

朝早くから、自転車でサイクリン
グをしているカップルに、颯爽と
走るランナーとすれ違う、真澄。

ほんの少し、肌寒い。

「帰りてぇ~」

真澄が見つめる先には、砂浜に
腰を下ろして青年に寄り添い

青年を、そっと見つめる百枝の
温かい眼差しがある。

『彼の話、聞いてあげたい』

百枝は、相槌を打ちながら彼の
話に耳を傾けていた。
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