白緑蝶"vacances【続2】
それは、見ているこちらまで頬
が赤くなるような、熱烈なキス

テオさんから離れた唇には薄れ
かかってはいるけれど真っ赤な
口紅がさしてあった。

彼女がソラのキスの相手なの?

「・・・
 タマラ、おまえがいる?」

「タマラ、探したんだよ」

タマラという女性は、香月さん
の存在に気づくと、離れ難そう
にテオさんから距離を取り、彼
香月さんの手をとった。

「あなた、ごめんなさい

 長旅で疲れてしまって
 どうしても一人きりに
 なりたくて・・・」

「構わないよ、君が無事で
 本当によかった」

タマラさんの我儘を、全て包み
込む香月という男性は、とても
大きな心を持った人なのだと私
はこの時思った。

「カツキさん

 そうして貴方が、すぐに何で
 もかんでもタマラの事を許す
 から、タマラの我儘は過剰に
 なり手がつけられなくなるん
 ですよ

 タマラ、人の家に勝手に入る
 君の神経を僕は疑うね

 ご主人の前で、この僕にキス
 をする君の事が僕は信じられ
 ない」
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