天空のアルカディア
二章 解放

疑問

「ひ、姫様!!ご無事ですか!?」


放心状態から抜け出した魔導師が青年の後ろからマリアを伺う


「私は平気ですが、皆さんが…」


暗い表情になるマリア


「いいえ、姫様がご無事であれば先立った者達も報われましょう」


「すまないな、俺がもっと早くに気付けば…」


「いいえ!ハーストさんの助けがなければ私達はここにいませんっ!」


首を激しく横に振り、反論する


「ともかく神殿に急ぎましょう。魔物がまた何時くるやもしれませぬ」


マリアは頷いて侍女を起こしにかかる


魔導師はライに振り向き、観察するように見た


「ハースト様はハンターのようですが…」


おそらく自分の半分も生きていない相手に敬意を払い、続ける


「我らのみでは姫様の護衛に些か不安が御座います。」


若造とはいえ力は強大、自分なぞ足下にも及ばないだろう


「ですから、護衛騎士団と合流するまでの間、お力添えお願できないでしょうか?」


ライは複雑な顔で考える。


「期間は?」


「先ほど念話を送りました、4日後には合流出来るようです」


念話とは魔法で離れたもの者へ言葉を送る手段


距離に関わらず、瞬時に伝える事ができるが、有効距離があり、使用者の魔力が強い程長くなる


「私からもお願いします。私はこの国を導こうと決めたのです。ここで倒れる訳にはいけません」


「…」


ライはマリアを見つめた


赤い瞳には決意の堅さが目に見えた


元々、王に仕える気がないからハンターになった


地位だけの王に仕えても意味がない


マリアは違って見えた


ヒトを惹きつけるような雰囲気、真っ直ぐな瞳


ーーー少しの間ならーーー


「わかった、引き受けよう」


「ありがとうございます!」


魔導師はただ頭を下げ、マリアは満面の笑顔でそう告げた


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