天空のアルカディア
「あ、あの…」


マリアは顔を真っ赤にして俯いた


泣き終わり、落ち着くとライに頭を撫でられていた


大泣きした事、頭を撫でられていた事が急に恥ずかしく思った


「落ち着いたようだな」


そういってまた焚き火の前に座り、黙り込んでしまう


「…隣いいですか?」


「あぁ」


マリアはライの隣に座る


まだ眠ってしまいたくなかった


泣いた所為だろう


眠気はあったが、まだ話していたかった


「…私は王としてふさわしいでしょうか…」


焚き火を見たまま独り言のようにつぶやく


「あの騎士達も私の護衛でなければ亡くなる事はありませんでした」


ライは視線を前に淡々と聞く


「ですが、守られた私はそれほどの器でしょうか。それに私の為に誰かが死ぬなんて…」


「甘いな」


「えっ?」


言葉はきるように呟いた


「王の器かと言われたら貴女は全然だ。」


「…」


唇を軽く噛みマリアは俯く


「だが、だからこそ貴女はそんな考えを捨てるべきだ」


漆黒に浮かぶ星々を仰ぎ見る


「彼らは貴女の為、ひいては国の為に命を懸けた。そんな彼らの期待や思いを裏切りるのか?」


マリアの頭は次第に下がっていった


そこでライはマリアに振り返った


「今はまだいい。最初から素晴らしい王などいない。貴女は1人じゃない。家臣に協力してもらいながら成長すればいい」


しばらく頭を下げたままだったが、不意に夜空を見上げた


「あなた達が守りたかったもの…私が引き継ぎます」


相変わらず目は腫れていたが、スッキリした顔をしていた


「それでいい。立ち止まるのも必要だが、止まったままは許されない……明日も早い、もう寝ろ」


「はい、ありがとうございます」


ライの言葉は無愛想だったが、どこか暖かさを感じた


再び静けさを取り戻した森で先ほどまでの思考に戻す


ーーー精鋭とはいえ次期女王の護衛に100数名は少なすぎるーーー


軍の総数は10万


ーーー異常な数の魔物の出現、変異体……まさか、な…ーーー


最悪の敵がチラリと視えたがそれ以上考えるのを止めた


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